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第52回大阪資料・古典籍室1小展示
平成15年4月1日(火)〜5月30日(金)


平成14年度新収資料展





第52回展示「平成14年度新収資料展」



 平成14年度中に購入及び寄贈により受け入れた既刊書の内、20点を展示しました。




1 漂客奇賞図 ひょうかくきしょうず  1冊
谷文晁画 刊 寛政3年跋(1791)
安永9年(1774)、千葉県房総沖に漂着した清国人方西園は、慣例に従って長崎から本国へ送還されることになり、船中から見た房総半島から長崎までの沿岸風景を克明に描いた。その絵に感動した画家谷文晁(1763-1841)は模して寛政2年に出版した。本書はそれに画を増し(12図→20図)、文晁自身の識語、交遊ある大坂の画家浜田杏堂(1766-1814)の跋文を加え、題簽を「漂客奇勝図」と変えた再刊本である。  914-530

2 燭夜文庫 くだかけぶんこ  2冊 
 
奇々羅金鶏著 江戸 須原屋安兵衛等 寛政12(1800)
狂歌作者奇々羅金鶏(1878-1809)の狂文・狂歌集。山東京伝、朱楽菅江、四方山人(太田南畝)ら当時一流の戯作者・狂歌師の面々が賛、序跋を寄せている。当時江戸に下っていた大坂の画家中村芳中(?-1819)らが挿絵を描く。229.5-42

3 百家交筆おくの細道 おくのほそみち  2冊
三津人編 森徹山等画 蕉門書林 勝田善助等 文化12年序(1815)
大坂の俳人三津人(みつんど)の編集になるもので、俳聖松尾芭蕉の「奥の細道」の各一章ずつを、当時の名声高き俳人(長斎、奇淵、志朗)等100名が書き、その筆のまま版にしている。森徹山、長山孔寅、中村芳中らが絵を添え、雅趣豊かな作品に仕上がっている。 226.4-28

4 童蒙道のおしへ どうもうみちのおしえ  3冊
淡河恭叔著 松川半山画 大阪 柳原喜兵衛 明治刊
幕末に「五常名義絵抄」として発行された児童向け教訓書。明治期に、当時流行していた明治初期啓蒙書風の書名を与えて再刊したもの。挿絵も、1、2枚山高帽で洋服姿の人間に差し替えている。173-360

5 大阪府石川錦部八上古市安宿部丹南志紀郡治一覧概表 おおさかふいしかわにしごりやかみふるいちやすかべたんなんしきぐんちいちらんがいひょう 明治18年 1帖
富田林村 郡役所 明治18(1885)
明治18年当時の河内の郡勢一覧である。各郡の村名、村名ごとの反別、地価、地租、戸数、人口などの一覧、又河内全域の年代別人口、学校数などが記載されている。銅版。鬼洞文庫旧蔵書。351.6-109N

6 重宝録 ちょうほうろく 第五回内国勧業博覧会遊覧案内記   1冊
大阪 大阪瓢興社  明治35(1902)
明治36年に大阪で開催された第五回内国勧業博覧会から今年はちょうど100年になる。この博覧会が大阪の経済や文化に与えた影響は大きい。この書は、勧業博覧会に乗じた商工案内名簿、各駅の人力車の値段表や時刻表などを記し、博覧会見物の手引き案内書となっている。291.63-1079N

7 明治三十六年博覧会の栞 めいじさんじゅうろくねんはくらんかいのしおり 附近畿名勝案内   1冊
神戸 神戸新聞 明治36(1903)
この書も近畿の観光案内を兼ねた、第五回内国勧業博覧会見物の手引き書である。 606.9-220N 

8 堺名勝案内 さかいめいしょうあんない  1冊
浅岡留吉編 堺 河合繁治郎 大正2(1913)
堺名所案内地誌、口絵は当時の堺の風景写真。巻末は堺の事業所の広告である。291.63-1055N

9 大阪府公園改良私見 おおさかふこうえんかいりょうしけん  1冊
本郷高徳著 [本郷高徳] 大正6(1917)
著者は当時東京帝国農科大学講師、大阪府の3公園(住吉・浜寺・箕面)の改良意見を述べたもの。特に住吉公園の改良計画については、図を添え詳細を極める。 629.3-30N

10 大阪府青年団体調査書 おおさかふせいねんだんたいちようさしよ  1冊
大阪 大阪府内務部 大正6(1917)
大阪府内の青年団体の所在地、創立年月日、年齢構成、指導者、資金、予算、活動範囲などを調査して一覧としたもの。巻末に、文部省または大阪府より表彰を受けた青年団体の活動を載せている。 379.3-211N

11 大阪府東成郡天王寺村勢一覧 おおさかふひがしなりぐんてんのうじそんせいいちらん 大正13年  1舗
大阪府東成郡天王寺村役場 大正13(1924)
大正13年当時の天王寺村の村勢を一覧にしたもの。面積、最近10年間の人口増加数、学校数などを記す。鬼洞文庫旧蔵書。351.6-108N

12 大阪府新登録工場名簿 おおさかふしんとうろくこうじょうめいぼ  1冊
大阪 産業経済通信社出版部 昭和21(1946)
副題に「新円経済手引き、どこで何が製造されてるか、工場内容が全部わかる」とあるように、文字通り太平洋戦争敗戦直後、産業復興の産声をあげたばかりの、大阪府内の工場名簿である。化学製品業、燃料製造業など分野別にし工場所在地、製造品目、代表者名を記す。503.5-11N 

13 人魚 にんぎょ 1−7 
大阪 川崎末吉 大正10(1921)−昭和3(1928)
発行者は、おもちゃ絵画家としても有名な川崎巨泉(1877-1942)が編集発行した郷土玩具の研究誌である。因みに巨泉の自筆郷土玩具帖116冊は、巨泉死後当館に寄贈された(甲雑41)。 P75-16N

14 京阪 けいはん     78冊
大阪 京阪電気鉄道 昭和8年9月(1933)−16年5月(1941)
京阪電気鉄道(京阪電車)の広報誌。表紙画は池田遥邨や堂本印象ら、当時の京阪画壇の重鎮が描く。昭和8年9月号が創刊号。初期の頃は内容も穏やかだが、16年頃になれば、時に表紙に軍用機が描かれ、広告や内容見だしに「厚生の秋」「戦陣」「忠魂」の言葉が見え初め、当時の世情の変化をよく伝えている。所蔵78冊のうち6冊を展示する。P29-33N

16 源氏鶏太の著作
敗戦からの経済復興、それをひたすら担ってきた平々凡々たるサラリーマンを主人公にして、数々のベストセラー小説を生み出した源氏鶏太(1912-85)は、富山県立富山商業学校を卒業後、昭和5年(1920)大阪へ出て住友合資会社に入社、小説家としての第1歩は、在阪期の昭和9年、報知新聞社募集の懸賞小説に「村の代表選手」が入選したことにはじまる。敗戦後の財閥解体、その処理にあたった後、住友関連会社に勤務のため東京へ転勤。執筆活動の拠点は東京に移るが、関西の小企業サラリーマン社長を主人公にした大ベストセラー小説「三等重役」など、約20年にわたる大阪での勤務生活が源氏鶏太の小説に大きな影響を与えている。今年度、寄贈により受け入れた源氏鶏太の著作約200点のうち、比較的初期の作品4点を紹介する。

女炎すべなし  東京 尾崎書房 1948    913.6-20065N
三等重役 正、続、続々  東京 毎日新聞社 1951-52     913.6-19854N 
向日葵娘  東京 小説朝日社 1952   913.6-20212N 
社員食堂開設  東京 小説朝日社 1952    913.6-20058N