第82回小展示(大阪資料・古典籍課) 平成20年1月11日(金)〜3月12日(水) (入場無料) |
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また童謡「たき火」に表現されるように懐かしい冬の情景をほうふつとさせる花でもあります。 サザンカは、同属のツバキに比べれば、地味な存在といえますが、日本原産の伝統の花であり、洋花がもてはやされる今日、日本古来の花の一例として、その姿を江戸期を中心とした資料の中に探してみたいと思います。 1 園芸書の中で サザンカは日本原産で野生種は四国、九州から沖縄にかけての山間部でよく見られ、多くは白色です。私たちが普段、街角や住宅地で目にするサザンカは、ほとんどが日本で作出された園芸種であり江戸期においてその発達が始まりました。 ○ 『花壇地錦抄』伊藤伊兵衛(「生活の古典双書」八坂書房 1983【832-507】)
宝永7年(1710)【832-20】 ◎『広益地錦抄』 伊藤伊兵衛(5代) 享保4年(1719)【832-18】 ◎『地錦抄附録』 伊藤伊兵衛(5代) 享保18年(1733)【832-20】 ○『秘伝花鏡』 清、陳B子撰 平賀國倫校 文政12年(1829)【830-10】 ○『草木育種』 岩崎常正 天保7年(1836)【830-6】 ○『剪花翁伝』 中山雄平(水竹亭)嘉永4年(1851)【991-222】 「いけばな」に用いる草木・樹木類を対象にした園芸書。 2 本草学の中で 伊藤伊兵衛(三代目)が『花壇地錦抄』を著した頃、貝原益軒も『花譜』の中でサザンカについて記しています。江戸期の本草学資料にはサザンカはどのように取り上げられているでしょうか。 ○『花譜』 貝原益軒 (「 益軒全集1」【032-9】) 原本は元禄7年(1694)序、元禄11年(1698)刊 ○『大和本草』 貝原益軒 宝永6年(1709)【645-4】
○『花彙』 島田充房、小野蘭山
宝歴9年(1759)-13年(1763) 【645-104】 本草家島田充房と本草学者小野蘭山による 草木図鑑。百種の花、百種の木の図説で草 部一巻は充房、残りの草部三巻と木部四巻 は蘭山による。 ○ 『草木図説 木部(下)』 飯沼慾斎原著 北村四郎編註 保育社 昭和52年 【655-1147】 3 絵画の中で サザンカが描かれた絵画作品は、同じ仲間のツバキほどには多くはありません。 ここでは、主題としては描かれてはいないものも含め、当館所蔵の絵画関係資料の内、江戸期以降の資料の中にその姿を探してみました。 ○ 〔雪中竹雀〕 土佐光則「雑画帖」より (四季花鳥画譜 昭和8年 【914-368】)
酒井抱一、鈴木其一、中野基明筆 明治41年(1908) 【914-44】 酒井抱一、鈴木其一、中野基明の3人の画家による図譜。 全10帖。精巧な木版刷で、日本の園芸植物が、 四季別に描かれている。サザンカは冬の部に、 55種の花木の一つとして描かれている。 ○〔山茶花図〕 京都・山岡家蔵 (原色日本の美術13【に1-1493】より) ○〔花鳥図〕 河鍋暁斎 明治14年(1881) 東京国立博物館蔵 (新潮日本美術文庫24【721.9-226N】) ○『羣芳図譜 第1輯第6編』
○〔山茶花〕 土田麦僊 昭和8年(1933) 山種美術館蔵 (21世紀日本の美術6 【910-883】) 4 童謡「たき火」 「サザンカ」ということばを耳にすると、童謡「たき火」の歌詞が思い起されます。 ○ 童謡「たき火」 巽聖歌・作詞 渡辺茂・作曲 (日本のうた大全集 改訂版 【911.66-33N】より) |
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おもな参考資料 (*は大阪府立中央図書館蔵) 『江戸名作画帖全集5』 駸々堂出版 1993年 【721-30N】
『花鳥』 宮内庁 2006年 【721.4-30N】 『花鳥画の世界』 学研 1981〜1983年 【A721-119N】* 『花木園芸』 宮沢文吾著 八坂書房(復刻)1978 【832-501】 『北村四郎選集4』 保育社 1990年 【470.4-3N】* 『日本農書全集55』 農山漁村文化協会 1999 【610.8-5N】 『花の由来』 安藤宗良著 婦女界出版社 1990年 【470.4-1N】 『冬の華・サザンカ』 国立歴史民俗博物館 2001年 【479.8-5N】 |
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